1892年、HAMILTON(ハミルトン)はアメリカのペンシルバニア州ランカスターにて創業。
高精度な懐中時計を作り出し、アメリカの鉄道黎明期に大きく貢献。
その後の世界大戦においては、懐中時計から腕時計の製造へとシフトして兵士のためのミリタリーウォッチを供給。
現在はスイスのスウォッチグループ傘下に属し、ミドルレンジ帯を担っている。
スウォッチグループの技術の恩恵を受け、コストパフォーマンスに優れるモデルを展開。
機能に劣らずデザインも革新的なものが多く、数多くの映画にも登場している。
ハミルトンは素晴らしい。
高級腕時計の入門機として、更には腕時計好きにとっての最適な寄り道時計でもある。
近年、各ブランドは往年の名作を復刻モデルとして展開する流れにあるが、その中でもここ最近の傑作だと思うモデルを紹介したい。
HAMILTON Khaki Aviation Pilot Pionner Mechanical
1973年に英国空軍に納入されたモデルを復刻したものだ。
このモデルは陸軍(W10)、海軍(0552)、空軍(6BB)で同じ仕様のものが採用され、裏蓋に刻印された管理コードで識別できる。
正確に言えば、このモデルは“6BB”の復刻と言えよう。
ケース径は36×33mm。ラグからラグまでは41.5mm(筆者計測)。
厚さは9.95mm。ラグ幅18mm。
ムーブメントは手巻き式のH-50。パワーリザーブは80時間を誇る。
おまけに10気圧防水!
装着感も小径ゆえ良好だし、とても軽い。
申し分ないと思いきや、風防がミネラルクリスタルなのだ。
オリジナルを忠実に再現としたと言えば聞こえが良いが、悪く言えばコストカット。
文字盤のザラザラとした加工も好き嫌いが分かれるかも。
ここが許せる方は是非手にして欲しい。
各社の復刻モデルは最新のムーブメントを積ませる関係からか大型化するのが一般的だが、このモデルはオリジナルを寸分違わず再現している上に最新ムーブメントを積ませるというハミルトンの本気を感じさせる。
小径、手巻き、ノンデイトという萌えポイントの集合体だ。
可愛すぎる。
最近の腕時計は大きすぎる。そう思わないだろうか?
小径の腕時計の魅力を、このモデルを通して感じて頂きたい。
我々日本人の腕に一番フィットするのはこれくらいの大きさだと思っている。
発売当初のモデルは黒文字盤のみであったが、新たにシルバーとネイビーの文字盤が追加された。
シルバーは飛行機のプロペラなどの金属部位、ネイビーは軍人の制服からインスピレーションを受けているとハミルトンブティックのスタッフから説明を受けた。
更にこのシルバーとネイビーのモデルにはNivachron製のヒゲゼンマイを搭載している。
黒文字盤にも今後搭載される予定ではあるが、いつから切り替わるか不明らしい。
初めての一本というよりもセカンド、サードウォッチとしてお勧めしたい。
手巻き時計の魅力も存分に味わって欲しい。
時計好きにこそウケる一本だと思う。